好きだ、と言われて体が震える。こんなことを体験するとは思わなかった。
 震える背筋に微笑んだ気配を感じ、同時に後ろから伸びてきた腕がスコールの身体をそっと拘束する。優しい掌がスコールの鎖骨の辺りに触れる。掌がスコールに直接想いを送り込んでくる錯覚。
「好き、スコール。大好き」
 本当の声が耳元で囁いた。安心して声が洩れた。
 何に安心しているのか自分でも解らない。それでもその声は確かにスコールの心の奥底まで分け入って孤独を厭う本心を宥めて抱き締める。同じくらい相手の辛さを痛みを宥めて抱き締めたいと思ってしまうくらいそれは優しい触れ合いだ。
 身体がしているのは優しさがあまり見えない触れ合いだが、心は確かに行為の中にある彼の「アイジョウ」とやらを受け取って歓喜する。あまり認めたくないことだが、スコールの感情も理性も彼を歓迎している。
「……バッツ」
「なに?スコール」
 消え入りそうな声で、そして考えられないくらい甘い声で囁くことにももう慣れた。こんなに全身で愛と優しさで甘やかしてどろどろにスコールの全てを溶かす相手に、少しでも好意を返せればいい。好きと言ってくれること愛してくれていることにどうにも巧く返答が出来ないのだから、と言い訳をしながら心の底ではただの自分の本心だと解っている。解っている。
 今、自分を抱きこむようにして貫いているバッツの笑顔が見たい。みっともなく崩れているに違いない自分の顔を見て、嬉しそうに笑うバッツの笑顔が見たいのだ。
 首筋に柔らかな口付けが落とされる。
 痕をつけないように注意が払われたそれ、に物足りなさを覚えスコールは言葉を紡いだ。

「アンタの顔が、見たい」


アマアマダトー!シンジラレヌー!
ブラウザを閉じてお戻りください。
2009/02/10 : アップ